内診問題で揺れる厚生労働省。裏で蠢く看護協会

★このエントリは4月3日に別のところに書いたログの再掲です。

看護婦の内診問題で、厚生労働省と日本産婦人科医会がもめている

新聞報道によると、厚生労働省は、4月2日に「内診を含む看護婦による分娩(ぶんべん)の進行管理」を禁ずる通達を発した。

一方、日本産婦人科医会は同じ日に、同会のサイトで、医師の指示・監督下であれば看護婦が分娩の経過観察ができるという見解を発表した。ところが、これが厚生労働省見解と異なっていたということで削除された。(4月3日朝は、日本産婦人科医会ホームページの“医会からお知らせ”に「産婦に対する看護師等の役割に関するガイドライン」が掲載されていたが、午後3時頃にはすでに削除されたらしい。)

一見、厚生労働省産婦人科医会の見解が正面からぶつかった格好だ。しかし厚労相通達は、厄人言葉で抽象的なことが書いてあるだけで、普通なら「対立」したくても「対立」できないような代物だ。この文章をどう読んでもそれが「内診禁止の通達」であるとは読み取れない。
興味深いことに、産婦人科医会は「厚生労働省の了解の下に見解を発表した」と主張している。つまり、当初は厚労省産婦人科医会の間に対立はなかったとみるべきなのだ。

厚労相の裏には、極悪利権団体=久常看護協会がいる

ところが、3月30日に看護協会が厚労省にねじ込んでおり、その後に厚労相が「看護婦の内診禁止」を強く前面に押し出したということのようだ。その内容は看護協会のリリースに述べられている。

つまり、看護協会の圧力で厚労省の態度が変わり、玉虫色の通達が「内診禁止の確認」の通達になったというわけだ。「看護協会の大勝利」と言われる所以だ。
そもそも、看護婦の内診については賛否両論あり、この問題は以前から厚生労働省内部でも議論が積み重ねられてきた。ところが、堀病院の事件が勃発したとたん、厚生労働省の一部役人が、そそくさと看護婦の内診禁止の通達を発してしまった。つまり一部役人の跳ね上がり行為だ。明らかに、この裏には、厚生労働省の役人崩れの久常節子が会長を務める看護協会の強い影響力がある。

かくして日本の医療は崩壊へ向けて着実に歩を進める

看護婦に内診をさせることができなければ、産婦人科医療は立ちゆかなくなる。ただでさえ、医師不足助産婦不足が深刻になっている中、看護婦が看護助手同然の存在になってしまうのだ。これで、どうやって周産期医療をやれというのだ。

このツケはすべて患者に回される。

この状況を作り出したのは、久常の看護協会と、その政治力に屈服した厚労省の厄人以外の何者でもない。いったいこの有様のどこが「医師、助産師、看護師等が、母子の安全・安心・快適を第一義に」しているのか、久常さんに是非説明してもらいたいものだ。