資料2: 「安全な出産を保証する助産体制に関する意見」

平成 17 年度 第 2 回プレス懇談会 2005/11/15 資料41平成 17 年 11 月 9 日 

医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会座長 山路憲夫 様

社団法人 日本看護協会常任理事 菊池 令子社団法人 
日本助産師会神奈川県支部長山本 詩子

安全な出産を保証する助産体制に関する意見

医療の安全確保と質向上は国民的緊急課題である現在、産科領域においても同様、十分な情報提供と意思決定に基づく、安全で満足のいく出産を国民は求めています。私ども助産師関係 2 団体は看護職の資質向上に努め、こうした国民の出産に対する期待や要望に応えることができるよう一層の努力を重ねる所存です。 このたびの「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のありかたに関する検討会」における報告書とりまとめにあたり、「生む側」の視点に立った安全確保と満足の向上のために、以下の点について共通理解のうえ取り組みを進められるよう強く要望いたします。

                     記

1. 母子とその家族、国民の望む安全・安心な出産を提供するために、助産師、医師以外の職種による内診を認めるべきではない。

産婦の内診は、分娩進行を判断する上できわめて重要な行為であり、分娩進行上、内診のみを切り離して良否の判断はできない。内診は女性の性器に直接触れるという本来的には人権を損なう行為であることであり、分娩進行中の内診は、陣痛を懸命に乗り越えている産婦にさらに苦痛を与え、たとえ無菌的操作で実施してもその回数が増えるほど母子の感染率が上昇するため、不必要に行わないことは分娩に関わる医療従事者の常識である。その実施時期の判断においては、高度な知識と技術、臨床家としてのリスク感性等が求められ、国家資格をもつ助産師、医師以外の内診は違法行為であると考える。

内診を単に計測と捉え、かつ分娩監視装置がついているから安全が確保できるという論理は、安全・安心で満足度の高い出産を望む声とは大きく乖離している。さらに内診として「子宮口開大」と「児頭の下降度」の 2 項目のみの観察し、分娩監視装置による経過観察を行うことは、異常の早期発見の機会を逃すことにつながり、医療安全の確保の点から問題である。以上を勘案すると、内診を看護師に許可するという医師の判断や発言は、安全・安心の医療提供体制の実現を望む母子とその家族、国民の期待を裏切るものであり、現在の社会情勢に逆行していると言わざるを得ない。