資料1: 削除された産科医会の通知と「ガイドライン」

保助看法問題解決のための医政局長通知について

平成19 年4 月2 日

日本産婦人科医会会員各位

社団法人日本産婦人科医会
会 長 寺 尾 俊 彦

厚生労働省は、平成19 年3 月30 日付けで、別紙写しのとおり、都道府県知事宛に、『分娩における医師、助産師、看護師等の役割分担と連携等について』と題する医政局長通知を発出した。

 この中で、『看護師等は、療養上の世話及び診療の補助を業務とするものであり(保健師助産師看護師法第5 条及び6 条)、分娩期においては、自らの判断で分娩の進行管理は行なうことができず、医師又は助産師の指示監督の下診療又は助産の補助を担い、産婦の看護を行う。』と明記された。

 そこで、この医政局通知を補完するために、日本産婦人科医会は、会長と弁護士両名で、『産婦に対する看護師等の役割に関するガイドライン』を医政局の了解のもと作成したので遵守していただきたい。

 なお、一部新聞報道で「看護師の内診認めず」との表現はあるが、これは医政局長通知の誤った解釈である。

 医師と看護師等で分娩を取り扱っている病院と診療所は、今回の医政局長通知と、医会会長の看護師のガイドラインの下で、保助看法違反と判断される不安は全く無く、安心して、産科診療に励んでいただきたい。

 

産婦に対する看護師等の役割に関するガイドライン

平成19 年4 月2 日

社団法人日本産婦人科医会
会 長 寺 尾 俊 彦
監 事 弁護士 平 岩 敬 一

Ⅰ はじめに

 平成19 年3 月30 日、厚生労働省医政局は、母子の安心・安全の確保や新生児の健全な育成の観点から、妊娠初期から、産褥期までの一連の過程における医師、助産師、看護師等の適切な役割分担と連携が確保される必要があるとの認識から、分娩における医師、助産師、さらに、看護師等の役割を具体的に医政局長通知として公示した。

 その中で、『看護師等は、療養上の世話及び診療の補助を業務とするものであり(保健師助産師看護師法第5 条及び6 条)、分娩期においては、自らの判断で分娩の進行管理は行なうことができず、医師又は助産師の指示監督の下診療又は助産の補助を担い、産婦の看護を行う。』と明記された。

 そこで、日本産婦人科医会は、厚労省の見解に準じて、産婦に対する看護師等の役割を、ガイドラインとして、以下のごとく規定するので、会員各位は、このガイドラインを遵守していただきたい。

Ⅱ 産婦に対する看護師等の役割

1. 分娩開始の兆候があり、来院したとき、原則として、医師が、内診と、外診を行い、分娩進行状況を確認し、外来あるいは入院診療録に、その結果を記載する。

2. 分娩経過中の観察は、医師の指示監督の下であれば、看護師等が行なってもよいが、以下の留意事項を遵守すること。

 ① 外陰部を消毒後、滅菌手袋をつけて、まず、人差し指一本を腟内に挿入し、次いで、第3 指を挿入する。

 ② 腟内の二本の指で、子宮口に、指を挿入し、子宮口に手指が何本入るか、あるいは、何センチ開大しているかを、計測する。

 ③ 腟内の指を子宮口にいれて、児頭に触れ、児頭の下降の状態を、観察する。

 ④ 看護師等は、この結果を医師に必ず報告し、医師は、その報告を、医学的判断の資料とする。

 ⑤ 出産時も、看護師等は、医師の指示監督のもとで、診療及び助産の補助を行なうことができる。

3. 看護師等が行なってはならないこと。

 ① 人工破膜等の医行為としての内診はしてはならない。

 ② 看護師等が行なった観察結果は、全て、医師へ報告し、自ら、判断してはならない。

以上